閉店後の喫茶店とかで、従業員どうしが奥のほうで談笑している、というような場面をたまに見かけることがある。
イスが片付けられ灯りの落ちた店内に残って、仕事や友達のことでも話しているのだろうか、などと思わず想像してしまう。
閉店後のお店には、ふだん客として見るのとは違う雰囲気があって、勝手にいろんなドラマを想像してしまったりもする。今回は、いくつかのお店にお願いして閉店後の風景をのぞかせてもらいました。
(text by 三土たつお)
雑貨 「ComaGoma」
東京・駒込の雑貨屋さん「ComaGoma(こまごま)」。うちのすぐ近所にあって、21時ごろ帰宅する際にいつも通りがかるお店。
閉店後の店内でひとり
通りがかる頃にはすでに閉まっていて、お店の方が一人で机仕事をするのがいつも見えていた。 たまに22時ぐらいに通りがかるときも、やっぱり同じだった。
自分の仕事がやっと終わったと思っている家路で、まだひとり働いている姿を見かけると、お仕事がんばってるんだなあと思う。
この日は夜7時閉店。店の外に置いたイスや板ガラスを片付ける。
いつも通りがかる頃には閉まってしまっているので、あらかじめ閉店の時間を伺っておき、閉店の瞬間をのぞいてみた。扉を開け、店の外に並べたイスを両手にもってひとつずつ店内に運び入れる。イスにのぼって天井の灯りを落とし、最後に扉を閉める。
それから何時までか分からないけど、一枚めの写真のようにずっと机に座って働いているのだ。その時間は商品の発送やお客さんとのメールのやりとりをしているらしい。仕事をする一人の時間。いいなあと思った。
お店: 「ComaGoma」 北欧の食器・家具など。 東京都豊島区駒込1-40-14 (ただし年内に移転予定とのこと)
果物屋さん 「フルーツ寿」
つづいて、東京・根津の果物屋さん「フルーツ寿」で、閉店後の風景をのぞいてみた。
てきぱきと片付けてゆく
千代田線の根津駅に近い本郷通りぞいのお店。夜遅くまでやっているので、たまにねぎを買って帰ったりした。
夜の12時ごろ、終電が迫り、だんだん人通りが少なくなってきたころに店終まい。店頭の商品を迷いなく片付けてゆく。てきぱき。ベテランの安定感を感じる。
お話を伺ったところ、この道50年とのこと。明日の朝も早いに違いない。買ったみかんは甘くておいしかったです。
お店: 「フルーツ寿」 東京都文京区根津2丁目19-4