一年でいちばん胃袋に負担をかける時期といえば、誰がなんと言おうと年末年始だろう。
怒濤のように続く忘年会ラッシュが終わったかと思うまもなく、今度は新年会だ。胃腸が休まるヒマもない。あげく、帰省した者は実家で「まぁ食べなさい攻撃」まで受けるのだ。…もう無理。これ以上は食べられません。飲めません。
このような暴飲暴食が続いたあとに残るものは、やけに重い胃袋と、うっすらとした食欲不振。
こういう時、うってつけの食べ物がある。そう。お粥だ。
(高瀬 克子)
まずは香港
取材をしたのは2007年のド年末。年始に見舞われるであろう胃の不調を見越した取材であったはずなのに、すでにこの時点で、私の胃袋は悲鳴をあげていた。
ああ…。胃がしくしくと痛む。
されど、こんな時こそのお粥なのだ。さっそく渋谷にある「香港ロジ」という名前のお粥専門店に向かった。
取材に同行してくれた水曜ライターの大塚さんに「もう今までのようなペースで飲み食いしてちゃいけないってことですかね」と、つい弱音を吐くわたくし。
「えー、ダメじゃないですか」と相槌を打ちながらハキハキと「生ビール2つ!」とオーダーを通す大塚さん。あ、いや、喜んで飲みますけどね。ええ。
ここはお粥以外のメニューも豊富で、肉を揚げた物などガッツリ系のメニューもある。普段の胃腸具合なら迷わず「広東豚スペアリブのブラックビーンズ炒め」など食べたいところだが、今回ばかりは無理だ。お粥だ。
20種類ほどあるメニューのなかから私は「ゆば粥」を、大塚さんは「ピータン肉粥」を選んだ。
──お粥って、普段から食べる? 「いや、病気の時くらいしか食べないなぁ」 ──だよねぇ。食べるときは、普通の白いお粥? 「うん、プレーン。梅干しなんかと一緒に」
他に注文した青菜炒めをつまみながら、お粥についてあれこれ話しているうちに、目当てのお粥が来た。
中華粥ではあるのだが、ものすごくあっさりしている。普段、病気の時に食べるような優しい味のお粥だ。
ただひとつ、日本のお粥と違う点といえば量だろうか。丼でたっぷりと出てくる。
店に入る前、なんとなくシクシクしていた胃は治ったらしく、お粥がどんどん入る。「多いな」と思った量も、どうってことはなかった。
──香菜、キライだっけ? 「いや、大好き」 ──だよねぇ。おいしいよね、香菜。
途中から味に変化がついたこともあり、気が付くと2人ともあっという間に完食していた。
デザートにもお粥が
まだ腹に余裕があったので、なにげなくメニューを見ていたところ「おや?」と思うお粥を発見。
なんとデザートの欄にも「粥」の文字を見つけてしまった。見つけたからには食べねばなるまい。
見た目よりも甘くない。うす甘くて冷たくて、全体的に小豆の味がした。よく煮込まれて柔らかくなった豆や麦などがたくさん入っており、いかにも「体にいい」といった雰囲気。くどくなくてサッパリしてます。
量もほどよく、こちらもあっという間に完食。
お腹に優しい物が入ったせいなのか、腹の具合がだいぶいい。よし。これならまだイケる。ってなわけで、間髪入れずに2軒目へと向かいます。