広い部屋でゴロゴロしたい。漫画とかだらだら読みたい。
でもフローリングの部屋はだめだ。あれはゴロゴロするとひじやらひざやら肉の薄い部分が痛くなる。ゴロゴロするなら畳がいいな。
「広い」+「畳」が何かといえば柔道場じゃないか。 なら柔道場でごろごろすればいいんじゃないか。
と思いついて柔道場を予約したのでこれから全力でゴロゴロしようと思います。
(text by 大北 栄人、 produced by ざんはわ)
スポーツとふざけの間で「ゆれる」
スポーツとふざけはほんとに相性が悪い。まず怒られる。もちろん真剣にゴロゴロしたいのだけれど、傍目にどう映るかを考えたらそれはやっぱりふざけなんだろう。
できるだけ柔道をしたい人に気を遣って、当日予約で入った。僕らがゴロゴロしなければ今日の道場は無人だったと考えると罪悪感も薄くなる。いや、決して悪いことしてるわけではないと思うんだけども、ああややこしい。
柔道もするがゴロゴロもする
やっぱりガラス張りだ。監視カメラもついている。ゴロゴロしてると怒られる。絶対怒られるような気がする。怒られ続けた人生が今、全身全霊で何かを訴えかけている。
ゴロゴロ、ムリか。ここはおとなしく柔道か。いや、「仕事」と「アタシ」のどっちが大切かの答えは「どっちも」だという話を聞いたような気がする。男なら、ここは両方だ。
決めた、どっちもする。柔道の延長線上にたまたまゴロゴロがある、そんな感じで、そんな体でそういうニュアンスで柔道をすればいいのだ。よく分かんないけど。
柔道着に着替えストレッチを開始
まずは柔軟から入るのがいいだろう。けがをしてしまってはゴロゴロも何もない。これはスポーツなのだ。まず柔軟だ。
一応念のためではあるがゴロゴロのことも考えて畳の上には本やマンガなどを散らしておいた。しかし今日はあくまでも柔道でいきたい。
筋も伸びてゴロゴロもできる
ストレッチの延長線上にたまたまマンガがあってゴロゴロしたような絵づら。そもそも動きの少ないストレッチは「頑張っているゴロゴロ」ともいえるんじゃないか。我々は今、おかしくない。と確信めいたものを感じた。
ランニング
ストレッチ終了、柔道部員はその後何するのか想像した結果ランニングを採用した。そしてもしものことを考えて、足をくじいたものは列から外れて休むように、と指示をした。
足くじきがち部
各々しっかりと足をくじいてくれた。足をくじいたのだから仕方ない、休んでゴロゴロするしかない。ただ僕らは柔道部でなくて足くじく部、足くじきたい部でもいいのかもしれない。
最終的には真ん中で全員がゴロゴロしてた。「これは仕方ないんだぞ、足をくじいてるんだぞ」と自分に言い聞かせていても、監視カメラの存在にはひぇっ!となる。
受身
受身の練習だ。これぞ柔道、ゴロゴロなんてしてませんよ、ゴロゴロなんて大嫌い、断固ゴロゴロに反対!という見た目で頼もしい。
かつて授業で柔道を経験した男・藤原くんは、くるっと背中を丸くしてきれいな受身を見せてくれた。見よう見まねであったがみんなで練習をする。
間一髪
ガラスの向こうに人影が見える。せやー!とか適当な大声を出してすっくと立ち上がり、伏目がちに窓からの死角へと足がむかう。肩身が狭い。
しかし最初は周囲の目が気になって楽しめなかったマンガの世界にも、段々入り込めるようになってきた。ゴロゴロと柔道のバランスが今うまくとれつつある。