タイトルの一文ですべてを言い切ってる気もするが、 「長崎では皿うどんを出前で頼むと、 栄養ドリンクの瓶にソースを入れて持って来る。」 という話を、ここ長崎ではよく耳にする。
おいおい、ホントかよ! とにわかには信じがたい話だが、地元民がみな口を揃えてそう言ってるんだから、たぶん本当だ。
が、実は私はまだその光景を実際に見たことがない。 よって確認してみた。
(text by T・斎藤)
ほんとだった
たしかに、ソースが入った栄養ドリンクの瓶がついてきた。 噂は本当だった。
とはいえ、長崎では全部が全部、栄養ドリンクの瓶に入れて持って来るというわけではない。…というか、実はけっこう苦労して探して、ようやく栄養ドリンクの瓶に辿り着いた。
以下、その顛末をば。
プラ容器が来た
最初に電話したのは、うちの近所の中華料理屋だ。 「皿うどん二人前お願いします。」 と注文。数分後にやって来たのは…
あれま、プラ容器に入ったソースがやってきた。 むむーん、残念。 出前の皿うどんのソースは、栄養ドリンクの瓶の場合とプラ容器の場合と2パターンある。一軒目はハズレだった(栄養ドリンクを当りとするならば)。
ちなみに上記の写真、やけに量が多いがこれで二人前。 長崎では、何も言わないと写真のように大皿に盛ってくるのがデフォルト。そして量が多い。
2軒目はどうか
数日後、今度は別の店にチャレンジ。 結果は…
写真で見ると、「こんなでかかったか?」と思うくらい、プラ容器がでかい。遠近感が狂う。写真の撮り方でそう見えただけなのか、実際にでかかったのか今となっては覚えていない。
いずれにせよ、ソースは栄養ドリンクの瓶ではなかった。
話と違うぞ
2回頼んで2回ともプラ容器だった。おかしい。 こんなはずでは。 このままでは皿うどんを何食食べればいいのか見えてこない。そこで少し頭を使って知り合いに当たってみることにした。
それによると…
昔は普通にリポDのビンみたいなのに入ってきてましたが、 そういうお店もプラに変わってますね。 その当時は残ったものは返してましたから、継ぎ足しで 再利用していたのでは無いかと・・・。 ビン1本分も使わないですしねー 今はコストや衛生上いろいろ問題があるんじゃないでしょうか?
実は栄養ドリンクの瓶はほとんどもう伝説かも…。 以前はドリンク瓶だった店も、今ではプラスチックか小袋のソース入れになってしまっているようです。 『ドリンク瓶にソースが入ってくるんだよねー』 と嬉しそうに話す長崎人は昔を懐かしんでノスタルジックになっているのかもしれません。私もそのうちのひとりですから。今でも瓶のお店、知りたいですねー!
とのこと。 なんと、いつのまにやら絶滅危惧種になっていたのだ。
むむーん。 意外な長崎のソース事情が見えてきた。
ということなので、たぶんダメだろうなと思いつつ、三度目の正直を狙い、再度近所に出前を試みた。
比較的小さくて昔からやってるお店が狙い目とのことだったので、電話帳を見てそれらしきところに注文したのだが、やって来たのはまたしてもプラ容器だった。 これで3回連続の玉砕。
もううちの近所では栄養ドリンク入りのソースは絶滅してしまってるのかもしれない。 と、そんな時、
うちの近所はまだリポDの瓶だよ!食べにきます?!
との情報が! 行きます行きまーす。
出前を取らせてもらいに
というわけで、そのかたのお宅にお邪魔し、 出前を取らせてもらうことにした。
そのお宅は、長崎は唐人屋敷跡というところにあった。 たしかにこの界隈は、古きよき昔の日本、…というか“アジア”という印象を感じさせてくれるところだ。
さっそく出前を頼む。 「出前を取るために来た客」という不思議な人になっている。
そしてやって来たのは・・・
こうして、ようやく栄養ドリンクの瓶に入ったソースとご対面したのであった。
が、実はこれも最初はプラ容器で来たのだ。 この店はプラ容器と併用しており、 ・2人前とか人数が少ない場合はプラ容器 ・大人数なら量がいっぱい入る栄養ドリンクの瓶 と使い分けているそうだ。
で、今回は栄養ドリンクの瓶がいいのでとわざわざ言って換えてもらったのだ。(歩いてすぐのところにあるお店だったので)
ということで、私がうちの近所で3連続プラ容器だったのも、もしかすると4人前とか頼んでたら瓶で来たのかもしれない。
栄養ドリンクの瓶は、飲むために作られており、けして注ぐために作られてはいないため、意外と注ぎにくかった。「意外と」じゃないか。
ちなみに、関東では皿うどんには酢やからしをつけて食べることが多い(少なくとも私が食べたのはそういうスタイルが多かった)。が、長崎ではソースが定番。
皿うどんの味付けは甘めなので、最初はソース無しで食べてその甘さを楽しみつつ、中盤以降ソースをかけて味の変化を楽しむというのが、長崎での王道の食べ方だ(おそらく)。