こうして、うどんを横に並べられてしまっては、イカも返す言葉がない。
イカが唇を噛みしめている。そりゃそうだろう。なにも自分から好きで「イカそうめん」を名乗ったわけではないのだ。人間の都合で「細い=そうめん」と勝手に名付けられただけに過ぎない。
たとえそれがうどんのような太さであっても、そうめんを名乗らなければいけないイカの無念。イカの屈辱。
なんだか気の毒になってきた。
高校のクラスメートに、ものすごく貫禄のある体格をした「細井」という苗字の男子がいたが、彼もことあるごとに名前と体格を比べられていて気の毒だった。しまいには「太いけど細井です」と自ら名乗るようになり、またそれが全くウケず、さらに気の毒だったものだ。
話が逸れた。イカだ。イカをなんとかしよう。 |