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土曜ワイド工場
 
100%成功するけん玉を作る
夕暮れとけん玉。


小さい頃から不器用だったので、まったくけん玉ができなかった。

けん玉で遊ぼうとするといつも玉が腕や顔に直撃して、なにかしら怪我をする。 ついに小3のとき、けん玉は遊び道具ではなく鎖鎌の類の武器だと気づいて、 以来けん玉にはいっさい接してこなかった。

しかし僕もいい大人なので、いまこそけん玉を克服しようと思う。 でもひたすら練習なんてしない。うまくなるまでどれくらいかかるか分からないし、 うまくなってもすぐに忘れてしまうだろう。

なので代わりにけん玉をどうにかする手段をとろうと思う。

(text by 小柳健次郎



けん玉協会オフィシャルのけん玉。

けん玉って普通できないよね

今回のために生まれて初めて自費でけん玉を買った。 そしてけん玉を手にするのも十数年ぶりである。

小さい頃は玉がいつも自分に飛んできて痛い思いをしてたけど、 さすがにこの年になるとそのような痛みはなんてことない。 それよりけん玉代1050円が痛かった。勝手に250円ぐらいだと思ってたので。 ちゃんとしたけん玉ってけっこうな値がするもんですね。

とりあえずけん玉を細工する前に今の自分がどれくらい出来るかやってみた。

ヒィッ!
やっぱりできない。どよーん。

できなかった。 あんな丸くて固い物体が自分の方に飛んでくるのだ。 それをちっちゃいへこみに入れろというのだから、 そんなこと出来る人なんて普通はあんまりいないんじゃないか。

せめて玉と皿(玉をのせる部分)が磁石みたいにくっつけばいいのだが。

 

けん玉を磁石ドーピング

そういったわけで、けん玉の玉と皿に強力な磁石を付けて、 簡単に皿に乗るけん玉を作ろうと思う。


使う磁石はその名もずばり強力磁石シート。
けた違いときた。

使う磁石はとにかく強力なものをということで、強力と書いてるものを買ってきた。
なんせけた違いの強さだ。これの形が違うだけの類似品には、史上最強とも書いてあった。


皿は単に接着しただけでいいのに。

後はこの磁石をけん玉に付けていけばいいだけだ。
まず皿にぺたっと磁石を付けた後、続いて玉の方へと移りこれまたぺたっと付けてもう完成といきたいところだったが、そうはいかなかった。

玉はそのまま付けただけだと不自然だ。
乳房のようである。

写真の通り、玉に磁石をそのまま貼り付けると出っ張ってしまい具合が悪い。 それに接着剤もうまく付いてくれない。

これは玉に磁石用の穴を掘ることで解決させる。


磁石大の円を描いてドリルで削ったり彫ったりして、
磁石の厚さと同じ深さの穴を作る。
そこに磁石を入れればピタリとはまり、
ほら自然。

これならけん玉の見た目も損なわないし、磁石もしっかり接着できる。

ちなみにこの穴一つ掘るのに40分かかりました。 なにせ玉はツルツルで滑るんです。


まだ一つしか付けてないのに嬉しくて写真を撮る。
この吸着力すごい。
微妙に気持ち悪い物体になった。

そして上の写真を撮ってから28時間ぐらい後、磁石の仕込み作業は終了した。

玉には18個の磁石を埋め、皿の部分も1個といわず5個配置、 その苦労あってか吸着力は抜群に強い。 けん玉全体から、磁場の発生を強烈に感じる。

遠目で見ればほぼ同じ色。近くで見ないで。

ただしこのままではシルバーに光るものが見えすぎる。 これでは磁石を仕込んでることがバレバレなので、色を塗って誤魔化そう。

絵の具にけん玉色というものはないので、自分で色を調整し、それで結局2時間ぐらいかけてそこそこ満足いく色が出来た。それを塗ってようやく完成だ。


磁石仕込みのけん玉。玉の光沢がなくなった。

さっそくこのけん玉の実力を試してみよう。


 

 
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