かつて使われた蒸気機関車がどすんと鎮座した公園がよくある。遊具として、かつての交通機関の教育としてあるのだろうが、その他に公園にそうした乗り物を置かれてるのをあまり見ない。
しかし探してみればあるもので、東京都内ののりもの公園を巡ってきました。主に小さいのとか、一部分とか。
(大坪ケムタ)
小型車、勢揃いな公園
上に書いたとおり、公園内の機関車は教育や歴史的展示という意義もあるのだろうが、公園に来る子供からすりゃ基本は遊具。のりもの・イズ・遊具。となると、究極に正しいののりもの公園はこんなところかもしれない、と思わされるのが品川区の東中延公園。
見た感じでは何の変哲もない、住宅街の中にある公園。しかし、目線を右に移してみると‥。
こののりものたち、誰かが乗り付けて駐車中なわけではなくて全てここの「備品」。通称「ブーブー公園」と呼ばれるここ、公園にいた人に話を聞いてみると同地を管理している近所の方が数台持ち込んでから続々増え始め、この数になったのだとか。もともと住民参加のワークショップ式で作られた公園ということで、周囲の住民の協力意識が強いのだろう。
最初に見た時はその子供遊具らしい極彩色もあってギョッっとしましたが、言葉どおりオモチャいらずな公園。自転車なんかここにあるのでさんざん練習させてからお気に入りの一台を買う、なんて具合に使えそうだし。
子供用のりものだけに、車体の先頭に顔が描かれてたりするのが、深夜見るとちょっと怖そうな気がしないでもない‥映画「トイストーリー」の1シーンぽいともいえるけれど。この辺の子供はおもちゃいらずで家族的にはおサイフに優しい公園だと思います。
のりものの種類なら豊富です
さて続いては本物ののりもの。大田区の荻中公園は自転車に乗ってマナーを学べたりする「交通公園」なんですが、園内にあるのは自転車だけじゃない。
荻中公園内の通称「ガラクタ公園」と呼ばれるこの一帯、実用を離れて遊具として第二の人生を歩むのりものたちが一斉に集う場所。交通公園だけに、のりものを学ぶという意図もあるんでしょうが。
居並ぶのりものは重機に建機、消防車やらなんだかわからないギアみたいなのまで。消防車あたりは男子が最初に思う最初の「かっこいい」だったりするので、オモチャの消防車を与えるのではなく、こういう本物に最初に乗せておけばビッグな男に育ちそうな気がします。気がするだけですが。
車に興味を持つのは男子のさだめのようなもの(だよね?)。たとえガラクタとはいえ、本物に乗ったり触れたり潜ったりできる機会があるのは当の子供からすると超ファンキーな体験にちがいない。慣れ過ぎちゃうと、うっかり間違えて本物の車なんかもいじってしまいそうだけど。
大田区立 荻中公園
まさにT-REXがいる公園
3カ所目ののりもの公園は、大田区の西六郷公園。サンサンというかジリジリ照りつける太陽の下、出迎えたのりものは‥
もう見たまんまですが、通称はもちろん「タイヤ公園」。一面にタイヤが吊られ、埋まり、転がり、積まれてる!その数3000本とか。のりもの、というよりその一部分というか、なれの果てというか。
そのシンボルとしてたたずむ恐竜はまさしくT(タイヤ)−REXというにふさわしい。そして、恐竜とともに砂場に胸を張るタイヤ・オブジェが、このロボット。この日の乾燥した天気と、砂とタイヤのドライ感が異星っぽくも感じさせる。
見てのとおり、園内にゴロゴロと転がった無数のタイヤ。先のブーブー公園の遊具の数もすごいが、数(だけともいえなくもないが)でいえばこちらの方が圧倒的。
その遊ぶスタイルの基本は「転がす」。どうせだったらスピードつけて転がしたい、となると
あんまりタイヤがありすぎてタイヤの不法投棄が相次いでる、というほどタイヤの名所のような同公園。最初のテーマであるのりもの、かどうかはおいといて、どんだけ乱暴に扱っても怒られない、というのが何よりいい。子供の破壊衝動を思いっきり解消できるスポットじゃなかろーか。腕力だけでホントにタイヤ壊しちゃったら、即格闘家とかの道を目指したが良さそうですが。
のりもの公園は子供の趣味に反映‥する?
子供、特に男の子は車か電車のいずれに興味を持つかによって、その後の趣味の持ち方が分かるのだとか。車なら自ら運転し、チューンするタイプ。電車なら調べたりデータを覚えることが喜びに至るタイプに、というわけだ。
今回紹介したような公園に連れて行き、生ののりものに触れるということは、趣味の幅を広げることになるんじゃなかろーか。一方よりは、両方がいいに決まってるからね。