7月末からしばらくの間、秋田に行ってきました。初めての秋田でした。
知り合いのツテをたどって、いろいろな体験をしてきました。子供の夏休みか、ってくらいにいろいろなところに行かせていただきました。ぼく、とてもたのしかったよ。
というわけで今月は、秋田の思い出を小出しに記事にしていこうと思います。第一弾は「じゅんさい採り」。これが予想外に興奮したんだな、まったく。
(乙幡 啓子)
別天地
秋田新幹線の終点から在来線で約1時間、三種町は森岳というところに来た。男鹿半島の付け根、元八郎潟の上辺のあたりだ。この地の名産はじゅんさい。三種町は全国一のじゅんさいの生産量を誇る。
どんな場所かは下の写真をご覧ください。トトロが出てきそうなところだ。
ところでさきほど「全国一の生産量を誇る」と書いたが、それは後々わかったこと。「じゅんさい」の存在は知ってはいたが実際に食べたことはなく、「葉っぱの周りに透明なヌルヌルがついてて、つるっとした食感で、ハスみたいな感じで沼に浮いてるんでしょ?」といった程度の認識。今後親しくなる機会も特に訪れなさそうな食べ物、と思っていた、正直。
この日も、他の用事が終わって、さあもう夕方だけどじゅんさいでも見に行ってみるか?と、当地の知人Tさんに連れられていったに過ぎないのである。と・こ・ろ・が。
そして昔話の世界へ
なんでもこちらのじゅんさい沼、個人の所有ではあるが、つみ採り体験できるよう一般人に開放しているのだ。1人1500円の料金だが、営業時間中は何時間でもずっとつみ採りができ、しかもほぼ無人だ。善意を信頼した証しの料金箱が、誰もいない事務所においてあった。
沼で一人作業しているここの所有者らしきおばさんに声をかける。
沼にはおばさん一人のみ。一日ずっと作業していたと見えて、たくさんのじゅんさいの入ったバケツを手元に置いて、木の船でプカプカ浮いていた。
営業は8時半から16時まで。日も傾き、時間は残すところあと30分ほどしかない。特別におばさんの厚意で、3人で1人分の値段でいいよということに。ありがたくお金を箱に入れ、木の船に2人一組で乗り込む。
船、ったって、四角いタライみたいなものですよ。木の箱です。底、まったいら。