「かわいい」と思う概念は人さまざまだが、私の思うかわいい存在の中にはガイコツがある。 私はガイコツに惹かれる。
そこで、食卓で気軽にガイコツを作れる方法を思いついた。
きっとみんなだって、週に1度くらいのペースで目にしているはずだ。
できるだけきれいに、魚を食べます。
(text by 土屋 遊)
買う
行きつけの魚屋へ閉店まぎわにすべり込んだら、ムチャな角度で熱視線をおくってくる魚がいた。
キンキだった。煮てばかりで焼いて食べたことはないが、他でもない深海魚という因縁の間柄(参照)でもあるし、これほどまでに見つめられて、ほっておくのはどうかと思った。
追記:魚の名前が違っていたので修正しました
ななめ上には色合いも地味な"イサキ"がこれもどうかと思うくらい無関心を装っている。私は追われる方より追うタイプ。ここまで相手にされないとまた好奇心も湧いてくるというものだろう。
ほかには、魚屋の店主に「骨がキレイにとれるやつ!」というワケのわからない要望を伝え、けっきょく(我が家で)王道の魚たちがそろった。
焼く
ウロコや"はらわた"はすべて魚屋で処理してくれる。商店街って便利。家では焼くだけだ。
食べる
さて一番の問題とされている「食べる」時がやってきた。
告白する。私は魚を食べるのがド下手だ。コンプレックスといっていい。
きれいに食べる人と出会うと、それだけでうっかり惚れてしまう。崇拝する。
どんなに粗暴な相手だろうと、一瞬にして、気品と知性をかねそなえ、慈愛に満ちた人格者のように思えてくるのだ。
皿の上にみごとに残された魚の骨も、芸術作品のようにみえる。いやアイドルのようだ。いやセレブ。キラキラとして私にはまぶしくてたまらない。骨セレブ。
しかし私はDPZ上で二大コンプレックス(ひとつは声)を告白したのだから、弁解も表明させていただく権利がある。
自己分析はこうだ。
私だけのせいではないことがご理解いただけたことと思う。