すべてものものに事情がある
次にぐっときたのはこれだ。取っ手。
いろんな形の取っ手がある。木製や金属、ガラスのものもあった。家や会社で手にする取っ手はこんなにたくさんあるもののなかから選ばれたものだったのか。
取っ手ひとつにそんな過程があったのだと思うとクラクラする。世のなか知らないことばかりである。知らないことを知っていますというしかないな、取っ手を目の前にしてあきらめの境地だ。
そして次に見たのはボトルの上に乗る奇妙なキャップだった。聞いてみると、
「展示品を勝手に飲んじゃう人がいるので…」
つまり、お店で展示してあるものを勝手に飲まれなくするための器具だ。お店においてある酒を勝手にあけて飲んじゃう人がいることも知らなかったし、それを防ぐために工夫している人がいて、商品化されていることも知らなかった。
店内で飲まれると万引き防止のタグをつけていても意味がないのでこういう器具が必要なのだそうだ。
なんというか、もう「すいません」としかいいようがない話である。
|