みんながただ通り過ぎるだけの交差点で、ひとり立ち止まり、車や人の流れをカチカチと数える交通量調査。
見かけるたびに、かっこいいと思う。
街角にありながら、買い物をするわけでもなく、道行く人に声をかけるわけでもない。することはただ数を数えるだけだ。街に埋もれず俯瞰する。
ストイックで、楽しそう。一人でやってみました。
(text by 三土たつお)
交通量調査ってなにを調べているのか
街角でなにかを数えるのって楽しそう。そういう動機なので、べつにまじめに交通量を調査したいわけじゃない。それでも一応、あれってなんなのかを調べてみた。
・交差点を通過する車の台数をしらべる ・方向別、車種別にしらべる ・12時間やる
ということのようだ(他にも流儀あり)。12時間やるのは無理だけど、よし、真似してみよう。
ちかくの交差点でやってみる
さっそく都内のてきとうな交差点へ。不忍通りぞい、西日暮里駅の近くの三叉路でためしてみた。
上の写真の、AからBへとAからCへの車の量をそれぞれ数えるのだ。
ちなみに今日は土曜日。よく晴れた休日、こんなストイックに過ごしている人はそうはいまい。ひとり悦に入る。
たのしい
なんだかかわいそうな子の一人あそびのようだが、これが意外と楽しい。カウンター(数取器)のメカニカルな手触りもいい。押したときの「カショッ」という手ごたえがくせになる。そして次第にカウンターハイになっていく。
急激に飽きた
楽しいのはせいぜい最初の10分だった。そこからは急に作業の単調さに飽き、時間がむやみと長く感じられる。
時計をなんど見返してもそのたびに2分しか足っていない。そういえば、街で見かけたバイトの学生たちの目も、こころなしか宙を見るようだった。今さらそんなことに気がつく。
結果
本当はこれを12時間やるらしいが、ほうほうのていで1時間を調べた結果は、A→Bが353台、A→Cが283台だった(ほんとうは車種も分ける)。それぞれ一分あたり6台と5台くらいだ。
むなしい。始める前はあんなに楽しかったのに。なぜだ。
交通量という対象がよくなかったのかもしれない。もうちょっとふつうに知りたいことを、ふつうに数えてみることにしよう。