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ちしきの金曜日
 
ダチョウに蝶ネクタイは似合うのか
蝶ネクタイ、してもいい?


突然ですが、ダチョウが好きです。

愛嬌のある顔、フォルム、動き。

パンダとペンギンとダチョウは、神様の大傑作のひとつだと思います。
中でも、ダチョウはとっても人懐こいと聞きます。

あこがれのダチョウに、かつての夢でもあったわがままをきいてもらいに行ってきました。

(text by ほそいあや



イメージ図

子供のころから、ダチョウといえば蝶ネクタイをしてすましているイメージがあります。

もちろん実際のダチョウはそんなわけはなく、そういったグッズやイラストをよく見かけるだけなのですが。

もし、本物のダチョウが蝶ネクタイをしたら・・・ダチョウ好きとしては一度は見ておきたい光景ではないでしょうか。


 

ダチョウ牧場ですって!

ある日、母から「高校時代からの友人の郷間さんが、自宅でダチョウを飼育している」という話を聞きました。

郷間さんのお宅は農家なのですが、なにやら敷地の一部をダチョウ牧場とし、数羽のダチョウをヒナから育てているらしいのです。

い、行きたい!

ダチョウに会いに行くだけでもよいのですが、ここはひとつ、蝶ネクタイ着用の許可をいただけたら素晴らしいと思い、無理を承知で交渉をしてもらいました。
もちろん、ダチョウにとって少しでも負担そうならば諦める方向で。

しかし、郷間さんは笑いながらOKしてくださいました。ありがとうございます!


こういうときしかミシンを使わない

ダチョウの生態をわかる範囲できくと、どうやらこの程度のコスプレなら問題ないそうです。人にも寄ってくるそうです。

なんとなく水玉が似合いそう。
ダチョウの首の太さは、だいたいビールの缶くらいとのこと。きつくないようにゴムをつけます。

ああ、ダチョウよ、変なお願いしてごめんね。ちょっとの間、夢を叶えさせておくれ。

 

栃木県の魅力

郷間さんのお家は栃木県の河内郡にありますが、ゴールデンウィークで母も私もうかれていたので、前日から家を出て、すこし寄り道をしました。

うん、こんな所なら、ダチョウも飼ってみたくなります。


市貝町のシバザクラ
NHKのような写真が撮れまくりです
名もなき牧草地
桃源郷のような原っぱ
麦のしなやかさにドキドキ

 

一夜明け・・

取材当日はあいにくの雨。田んぼを横切り、郷間さんのお宅へと向かいます。

ダチョウとの対面が迫る、興奮のひとときです。


 

いた

大通りからお宅へ続く小道の途中に、なんの前ぶれもなくダチョウ達はいました。

み、皆さん、こんにちは!


雨の中、ぬぼーっと休んでいます

あれ、誰か来たダチョ
なになに?なんか用ダチョ?
なんかくれるダチョか?
どっから来たダチョね?

 

人をおそれない

わらわらと集まってきました。この純真無垢な感じに頬がゆるみます。

この日、母の友人のA子さんはお仕事なので、ご主人が協力してくださいました。

ご主人のお話によると、ダチョウはとても好奇心が強く、人が近づくとじゃれるように甘噛みするのでかわいいのだとか。おもちゃも大好きで、帽子やメガネも取ってしまうそうです。

ストレス解消のために、大きくて光る物(お玉など)をいくつか置いておくと、取り合ったり投げ合ったりしていつまでも遊んでいるそうです。うう、萌え。


晴れの日は、もっとほわほわしているそうです

 

ダチョウ飼育のいきさつ

郷間さんがダチョウを飼育しようと思ったきっかけは、農作の副収入としての他に、ご主人がもともと動物好きな事が大きかったとのだとか(お家にはもちろん犬も猫もいます)。
栃木には何人かダチョウを飼っているかたがいて、それを見に行った時に興味がわいたそうです。

郷間さんの役目は、ダチョウのヒナを仕入れ、成鳥にして引き渡すまでの過程だそうです。

ヒナは大変可愛く、宅配センターに取りに行ったときは、センターで働いている作業員がみんな集まって来てしまったそうです。

このダチョウ達は、アフリカンブラックという品種を家畜用に改良したおとなしい性格で、もともと声帯のないダチョウは鳴くこともなく、フンもほとんど消化して出てくるので臭いも少ない、と飼育には良い条件がそろっています。

ただ、飼育はかなり難しく、足をけがすると大抵は死んでしまうとか・・。ヒナのうちや成長過程ではちょっとした事で足をけがしやすく、何度かやりきれない思いをしたと話すご主人の顔に、一瞬悲しみの色が見えました。

「どうにか良い環境を研究して、田んぼを広い牧場にして、ダチョウの群れが駆け抜ける、なんてのが夢なんだけどね」

そう話すご主人には、生き生きとした表情が戻っていました。

 

いよいよ装着

一通りお話をうかがい、蝶ネクタイをお願いしました。ご主人は、快くダチョウのもとへ。

ありがとうございます!カメラを構える手に力が入ります。


なにそれなにそれ
ほら、首をお出し

 

 
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