市販薬のパッケージや添付文書には具合の悪い人が描かれている。
そのさまがたいへん分かりやすい。わかりやすく弱っている。シリアスだけど昔の置き薬ほどおどろおどろしくもない。独特のタッチで描かれていて味わい深い。
地味にコレクションしていたパッケージ&添付文書がある程度の量になったので、今回はそんな箱のなかの弱い人をいっしょに見ていきましょう。
(林 雄司)
あ、おれが描いてある
ハイチオールCはシミ・そばかすのほかにふつか酔いにも効く(効能に書いてある)。
瓶のパッケージには美白をうたっているが、紙箱のほうはふつか酔いイチオシである。瓶には中谷美紀の写真が載っていることもあるが、箱のほうは微妙な色の長袖ポロシャツを着たおっさんである。
口と胃をおさえたリアルなポーズ。眉間のしわ。そして悔やむ昨晩の飲酒量。これはまさに僕である。これからハイチオールCを飲もうとしている僕がすでに描かれていた。ハイチオールマジック。ちょっと嬉しくなった(気持ち悪いけど)。
ふつか酔い系だとこの二人もかなりシンパシーを感じる。
きのうの自分を恨む気持ちが伝わってくる。3次会まで行く必要はなかった。そしてエビオスの添付文書の注目点はまだパジャマであること。たぶん彼は午前半休するだろう。
しかしエビオスの左の男は食欲不振というわりにそれはないだろうという食事である。
そして風邪をひいたときに買ったドリンク剤の箱の中にいた人がこれ。
縦線も入っていい弱り具合である。「虚弱体質」で済ませていいのか迷うぐらいの弱りかたである。ドリンク剤でいいのか。
イララックの箱はすごい
小林製薬の「イララック」はイライラを抑える薬である。僕はこれを飲んだあと焼肉を食べに行き、店員が僕の前で肉を落してまた皿に載せたのだが、まったく怒らなかった。という薬である。
これの箱がものすごくみんなイライラしているのだ。ストレス社会かくあるべきというぐらいのテンションである。
怒るほうも怒られるほうも顔真っ赤だ。しかしイララックは箱のなかの人も追い打ちをかけるようにまだまだアングリーである。
イライラしている人にキャプションをつけるのはなんでこんなにおもしろいんだろう。
ここまで怒ってる人を見せられると怒ってるのが恥ずかしくなってくる。短気は損気だよな、なんて思ったりして。薬を飲む前に抑止力のあるパッケージである。
いろいろ困る人
いろんな理由で弱ったり困っている人が描かれている。どれも妙に心当たりがあるので困る。だから家にあるのか。
きみは僕だ
具合が悪いときって、なにか読みたくても本棚にいくのも面倒で手元にある薬の添付文書を熟読したりする。そこで気がついたのがこの困ったり弱ったりしている人たちである。僕と同じ症状でぐったりしているようすが戯画的に描かれてる。きっといま自分もこんなか、と思うとすこしおかしい。
それで一瞬楽になったりすることもあります。ならないこともあります。
トローチの添付文書から)砂糖を使ってないのでカロリーを気にしているかたにも安心です。という説明のイラスト。 トローチの砂糖の量とか気にしてる場合ではないと思うが、ガッツポーズ。