マンガなどでよく「雪山から転がったら雪だるまになっちゃった」という場面があるが、そんなのありえない。
もちろん顔面裂傷・頸椎損傷などをリアルに描写されても嫌だが、現実離れにもほどがあるのではないか。
しかし、そう決めつけるのには疑問もある。わたしは長い距離を転がったことはない。せいぜい数メートル転がっただけの経験をもとに言っているだけだ。
(もしマッキンリーの山頂から転がったとしたら?)
この疑問を解明するべく、わたしは山へと向かった。
(text by 小柳健次郎)
死なないための雪だるま計算法
<もしマッキンリーの山頂から転がったとしたら?>と書いたが、ハッキリしてるのは確実に死んでしまうことだ。
そこで今回は、転がった距離から身体に付着した雪を測り、それをもとにして何メートル転がったら雪だるまになるのかを検証する。
ここではそれを誰でも簡単に求められるよう、スクリプトを用意しました。
ここで使われている雪だるま計算法の説明は少々長くなってしまうため、別ページにまとめておいた。見たい人は見てください。
<雪だるま計算法の説明ページへ>
おれのマッキンリー
転がった距離から身体に付着した雪を測るには、実際に転がる必要がある。
転がることに特化した山といえばここしかない。
このモエレ山は人工的に作られた、標高90mの丘のような山だ。障害物がないので今回の検証には打ってつけである。
なお、この太陽の傾き加減は夕焼けではなく朝焼けです。特に言わなくても分かると思いますが、日中にやると様々な不幸に見舞われる危険があったため早朝に行いました。
転がる距離は50m
まずは転がる距離を決める。
当初は100mぐらい一気に転がる予定だったが、登りながら測っていくと、ちょうど50mでわたしは虫の息になることが判明した。
転がる以前に体力が尽きてしまっては意味がないので、仕方ないがここで妥協する。
いよいよ転がるよ!
場所を決めたら後は転がるだけ。さっそく転がろう。
まずは登るぜ!
当然一人だからな!
なんとか着く
疲労困憊
では転がります
おっ。
おおっ。
おおおっ。
あはっ。
あはは。
あははは。
あはははは・・・?!
うえー。
うへー。
うげー。
ぶえー!。
途中までは楽しかったが、最後になると雪が入って冷たいし、ものすごく気持ち悪くなった。図らずも三半規管の限界を知る。
だが肝心なのはどれくらいの雪が付着しているかだ。その驚愕の結果は!
えーと、大目に見て1ミリ。
わたしはアシニボインちゃん
この結果を基に雪だるま計算法で計算すると、わたしは標高3650mで転がれば雪だるまになるはずだ。
その条件に合いそうな山は、カナダのアシニボイン山。標高3618m。というわけでわたしはアシニボインから転べば雪だるまになります。当然マッキンリーでもなります。
しかし次の日、雪の上で転んだら同じ厚さの雪が付着していた。
つまりは、そういう話です。