私が住んでいる東京都の外れを流れる川で、天然のシジミが捕れるという噂を、釣り場であう人達から以前より聞いていた。
しかし、シジミがその川のどの辺で捕れるのかという細かいところまではわからず、シジミ捕りは憧れのまま封印されており、実際に捕りに行ったことは今までなかった。
そんな憧れの東京都在住シジミなのだが、ちょっとしたきっかけから、捕れそうな場所がわかった。
(text by 玉置 豊)
漁師らしき船を発見した
ある休日の午前10時過ぎ、例のシジミがいると言われている川を電車に乗って横断中に、なにげなく川を眺めていたのだが、なにやら小さな船がウロウロしている。
遠くてよくわからないのだが、釣りやレジャーが目的ではない、もっと実用的な感じの船に見える。もしかしたら、あれはシジミ漁をしている漁師さんの船なのかもしれない。いや、きっとそうだ。
もうこうなったら電車に乗ってお出かけなどしている場合ではない。次の駅で早速Uターンして家に帰り、自転車のカゴにバケツと熊手を入れて現場に急行だ。
冬場は近所で捕まえられる食料が少なくて困っていたところなので、必要以上にハイテンション。
河原は危険がいっぱいだ
漁師らしき船がいた河原に自転車で駆けつけたのだが、そこから先へ進もうとしたとき、大変危なっかしい看板が私の行く手を阻んだ。
シジミを捕りたいが、マムシは怖い。
マムシは怖いが、シジミは捕りたい。
よし、勝負は時の運。「注意すればきっと大丈夫!」、「もうそろそろマムシも冬眠している頃だよね!」と、自分を励ましながら柵を越える。 ※やっぱり危ないのでマネしないでください。
漁師の船発見
マムシに細心の注意を払いつつ、ドキドキしながら川縁へ進むと、先ほど電車から見かけた船を発見した。
もう間違いない。あれはシジミ漁の船だ。
あの網みたいなのは貝を捕るのに使う鋤簾(じょれん)というやつだな。そして小石みたいのがシジミに違いない。
ということは、この川の底には、きっとシジミがいっぱいだ!