入れ歯安定剤で心を安定させる
頭上にワイングラスがあるというのはかなりの緊張感だ。少しでも不用意に動くとグラスが落ちて粉々に砕け散ってしまいそうで、気がつくと全意識を首筋の筋肉の収縮と弛緩に集中させている。頭上のグラスは、そこに置かれた瞬間からボクの最も大きな弱点となってしまったのである。
と、なぜこんなことをしているかというと、頭の上にワイングラスを置けばそこに意識が集中し、そのことによって精神的な安定感が得られるのではないかと思ったのだ。
つまり、入れ歯安定剤で精神の安定を図ろうというのである。
背筋をピンと張り、心を無にしてワイングラスにのみ意識をかたむける。ワイングラスはかたむけない。
ようするに、座禅のようなものだと思っていただきたい。 |