実は1ヶ月くらい前からスケボーをはじめた。流行のちょい悪おやじになるがためだ。上手くなったら夜の公園とかで若いやつらとつるみたい。
だけどこれがまったく上達しないのだ。というか何をどうしたら上達したといえるのか、それすらわからない。一人でやっていてもまるで取り掛かりがないのだ。
そんな僕をみかねて先生が指導しに来てくれた。この機会に一気に上手くなろうじゃないか。
(安藤 昌教)
ハルタ君
僕のことを助けに来てくれたスケボーの先生、ハルタ君。まずすげえ背が高い、そして顔とか髪とか服装とかが明らかにいけている。本職はwebデザイナーだがスケボーと写真の腕前もプロクラス。スケボーの全国紙にも写真が使われていたりする。なんだこの圧倒的な敗北感は。
そんな先生がスケボーに乗ってやってきた。車道を飛んでやってきた。
ハルタ君、まずはさらっと技を見せてよ。
「わかりました、ちょっとそこの板、貸してもらっていいですか。」
ハルタ君はうちの店の看板を歩道にセットした。そしておもむろに助走をつけて軽々とそれを飛び越えて見せた。だからなんなんだ、この敗北感は。
とにかくハルタ君がやっているといとも簡単に見えるのだ。だけどここで初心者が調子に乗ってはいけない。それならおれも、と僕も看板に向かったはいいが、まっすぐすら進めずによろよろと横を通り過ぎてしまった。
ここは素直に負けを認めて一つでも技を教えてもらおうではないか。
ハルタ君、よろしくおねがいしますよ。