長崎の街に、ある時間帯になるときまって現れる “バイク集団”がいるという。
何人かの証言によれば、それは 「多い時は50台くらいで群がって走ることもある。」 「車の周りを取り囲まれてドキドキした。」 「比較的温厚。」 とのことだった。
最後の一文が若干気にかかるが、とにかく 自分の目でたしかめに、その出現ポイントへと向った。
(text by T・斎藤)
朝です
バイク集団が姿を見せるのは、 平日の朝7時〜8時半くらいの時間。
要するに、通勤時間帯である。
出現ポイントとされる場所にて、 カメラを構えて待ち構えていると…
バイク集団の特徴
このバイク集団には、いくつかの特徴がある。 まず、ユニフォームを揃えるといったことはせず、みな思い思いの服装で参加している。
また、マシンに共通性はなく、みな自分のお気に入りのマシンにまたがり走行している。
つまり…
言わずもがなではあるが、つまりこのバイク集団は、朝の通勤風景である。坂が多く狭い道が多い長崎では、原付で通勤する人が非常に多く、時々期せずして“集団”になってしまうのである。
どれくらい長崎はバイクが多いかというと、原付のナンバープレートが5桁になってしまうくらい多い。 人口が多い東京・世田谷区などではもちろん5桁だが、長崎市のように人口45万人で5桁のナンバープレートはというのは珍しい。
シャッターチャンスを求めて
当初私は、噂に聞く50台くらい群がってる絵が撮りたかった。が、やってみるとこれがなかなか難しい。というのも、通勤ラッシュの混雑は限られた時間しかない。その時間内に、たまたま大勢のバイクが群がっている場面に居合わせないとならない。
私はこのバイク集団の写真を撮るために、実は3、4回足を運んだ。この日も朝7時ちょっと前に、知人から聞いたポイントに足を運び、混雑が増すのを待った。
中心部へと向う国道は三車線の道路だが、そのうちの一車線はバイク・バス専用のレーンとなる。ここにバイクが溜まりやすいと聞いたので狙ってみたものの、なかなか思ったように溜まってくれない。
時間が7時半を過ぎた頃から、混雑具合が激しくなってきた。信号が青になっても詰まってしまって車が進んでいかない。おそらくこの頃が混雑のピークだと思われるが、私の期待通りにバイクが集まってくれない。集まれ、バイク。
バイクが溜まりそうなところはどこか?
やがて、溜まりやすそうな場所を探して歩いてみることにした。
・信号待ちの時間が長い方が溜まりやすいだろう。 ・複数の道の合流地点が溜まりやすいだろう。 ・道が分岐してしまう直前がいいだろう。 ・前の信号からの直線距離が長い方がいいだろう。 などいろいろ考えたが、考えれば考えるほど、とても複雑な問題であることに気付き始めた。
クーってなんだ?
やがて8時半を過ぎ、だんだん通勤ラッシュっぽい感じではなくなってきたため、引き上げることにした。残念ながら50台ぐらいバイクが群がるような場面には遭遇できなかった。
というわけで、どこにでもあるような普通の通勤風景を撮って来ただけのような気がしないでもない。斬鉄剣でタクワンを切ってしまった石川五右衛門のような気分である。
が、知り合いが言っていた 「周りを囲まれてドキドキした!」 という図は撮ることができた。
守ってるようにも見える。