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フェティッシュの火曜日
 
枯れ木に花を咲かせましょう。尿素で。
(画像はイメージです)

今年の桜は予想外に早く咲きほころび、そして吹雪になるまでが短かったように思う。

花の命は儚いもの。
藤の終わりのしぼんだブドウのような黒ずんだ姿、一面の黄色を期待して見に行ったヒマワリ畑が緑ばかりで、花が種になって下を向いている姿を見るとやはり切ない。
だからこそ美しいんだとわかってはいても、それでもずっと見ていられたら、と思うこともある。

では咲かせてやろうじゃないか、化学的に。

佐倉 美穂



この木にしよう

花を咲かせる対象は盆栽だ。
この葉だけを見るのもツウなのだろうが、やはり今は花が見たい。

そこで、端正しているこちらの盆栽に登場を願った。


枝振りが立派じゃろう

すみません、上は嘘です。
実際はこんなサイズ。造花ならぬ造盆栽と言うべきか。


普段はここには飾らない

 

原理は簡単

花を咲かせよう、と大きくでたものの、そう簡単に本物の花を咲かせられるものではない。
今回の実験は、溶かした尿素の再結晶した様子が「花が咲いたように見える」らしいので、それを盆栽上で行い、見事花を咲かせてみようという試みだ。

今回主に必要なものは以下の3品。
・尿素
・木工用ボンド
・台所洗剤

化学的なんて言っても滲み出る日常感。
最近では尿素もハンドクリームに使われていたりして、あまり抵抗が無くなった気もする。

しかし尿の素と書いて尿素。
いや、汚くないですよ。臭くなるのはアンモニアに分解されてからだし。
私は以前職場でも頻繁に使っており、その時は英名の「ウレア」と呼んでいたので余計抵抗がないのかもしれない。可愛い女の子にいそうじゃないか。ウレアちゃん。

その尿素なのだが。


盆栽よりでかい

必要なのは50gなのだけれども、薬局で500gの箱しか手に入らなかったのだ。
こんなにいらないよ……。
私はお好みで調合や量を注文できる七味唐辛子屋よりも薬品の量り売り店がほしい。毒物劇物取り扱い責任者でもあることだし。


秤の限界

他の物は入手しやすいが、いかんせん必要な量が少なすぎる。
木工用ボンド3gとか、中性洗剤12gとか。
こんなの量れるかっ!
うちの台秤の最小単位は5gなんだ!

今事故にでもあって慰謝料をもらったら、迷わず電子天秤を買うね、と島津製作所の商品カタログを見つめる。

というわけで、今回はすべて必要量の5倍でやることにした。


「なんでも量るつもりだけど?」
でも目盛りの最小単位が5g

 

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