カルメ焼きを作ってみたいと思っていた。砂糖、あの砂糖がですよ、何かの術をほどこすと、ぷくーと膨らんでシャクシャクしたお菓子になる。
ただ親の世代ならいざ知らず、自分の経験上、夜店でカルメ焼きを買ってもらったことはなく、カルメ焼きに特別な思いを抱くということはなかった。が、図書館でカルメ焼きを紹介した ある本を何気なくめくると、こんな記述があったのだ。
「では、太田胃散でも膨らむかどうか、やってみましょう!」 えー!
(乙幡 啓子)
準備からしてけっこう面倒
ある漫画で、お母さんが昔を思い出してカルメ焼きを作るシーンがあったが、そのお母さんも試行錯誤を重ねた末、成功することはなかった。つまり何度やってもプクーっとふくらまなかったのだ。
その印象が強く、なかなか重い腰を上げずにいた私だったのだが、図書館の子供用の棚にこんな本を見つけた。
内容は、カルメ焼きなどのわかりやすい現象を通して、理科をやさしく解説するというものだったのだが、この「カルメ焼きを作ってみよう」という箇所に、くだんの「太田胃散」の言葉を見つけたのだった。
♪やるなら今しかね無ぇ〜♪ 太田胃散で膨らむのかも興味あるし、カルメ焼きを作るいい機会でもある。しかも仕事でやるのである。
上のアルミのオタマ、作り方にもわざわざ「アルミ」と書いてあったので、探しに出かけたのはいいが、なんとハンズにも売ってなかった。近所の金物屋でやっと見つけた「青い鳥」オタマなのである。
実は事前に、家にあったステンレスのオタマで実験していたのだが、どうも熱の伝わり方がアルミより遅かった。それゆえのアルミ指定なのだろうか。
ではざっと作り方をば。
しかも予想通りの難しさ
冒頭の「ある漫画」で、お母さんが失敗を重ねた絵が頭をよぎる。ふわっと膨らむはずのカルメが、これでは火星のシドニア平野ではないか。しかも「かりんとう」並みに固い。
何がいけないんだ、温度か?かきまぜる速さか?それらのタイミングか?前世か?
予習で1度失敗しているだけに、本番で1度で成功させるつもりだった私は奮い立った。午前2時のロック・ミー・トゥナイトだ。